石垣島ダイビングショップ SENSE OF WONDER

ダイビングって

私がダイビングを始めたのはもう40年程前です。

当時はBCとダイブコンピュータはありませんでした。ハーネスというものにタンクを固定して潜ってました。中性浮力という概念がありませんでした。ウェイトを予定水深の深度での浮力を考えて装着しました。したがって水面では若干プラス浮力になります。潜降はヘッドファーストである程度の水深まで速やかに潜るというものでした。水面での浮力確保は立ち泳ぎでした。立ち泳ぎができなければ水面に浮いていることはできませんでした。ライセンス講習では立ち泳ぎを徹底的に練習しました。

ダイブコンピュータは無かったのでダイブテーブルか潜水士が使用する減圧表を使って潜ってました。

オクトパスは無かったです。レギュレータはオクトパスを付けることは可能な構造にはなっていましたが、オクトパスという概念が無かったです。緊急時は1人で水面に浮上(緊急スイミングアセント)するか、バディブリージングで浮上するかでした。

私はダイビングショップに通ってダイビングを覚えましたが、まともな講習はしてくれませんでした。学科は皆無です。だから自分で勉強し練習しました。

水中ガイドという存在はまだ無く、ショップのお客さんはその日集まったお客さん同士でバディを組むか単独で潜ってました。ショップのインストラクター(オーナー)は一緒に潜ることはなかったです。だから皆ナビゲーションや海況判断を自分達で行ってました。

インストラクターに管理されず、自分たちの技術や知識でダイビングを楽しんでいました。そして、定期的に技術練習を怠らなかったです。ダイビングショップでアルバイトをしていた頃は、そこのダイビングショップでライセンスを取ったお客さんのクラブがあって、皆さん毎週ショップのダイビング用プールで素潜り、立ち泳ぎ、中性浮力などの技術練習をしてました。私も大学のダイビングクラブにも所属していたので、週末はみんなで練習しました。

皆さんはライセンスを取ってから技術練習や知識の習得をしていますか?以前からブログにも書いていますが、安全にダイビングを楽しむために技術練習と知識の習得は行うべきです。「ダイビングは回数潜って経験を積む事が一番だ」とよく言われますが、確かにそれも大事です。でも技術は練習しなければ忘れるか廃れます。いざという時に行うことができなければパニックになりトラブルが起き、溺れて最悪の事態になります。エアー供給が止まった時瞬時に適切な対処ができますか?緊急スイミングアセントができますか?マスクが外れた状態で呼吸ができますか?マスクが外れた状態で浮上できますか?スクーバ装備でスノーケル呼吸をしながら水面をある程度の時間移動できますか?「習うより、慣れろ」ともよく言われますが、「習う」ことが嫌な人が分かったかのようにいう事も多いですね。「習う」ことは大事です。「習う」ことの延長に「慣れろ」があります。

トラブルや事故、最悪の事態にならないようにするためにどの様な準備(技術、知識、健康)をすべきなのか考えてますか。減圧症など高気圧障害について十分な知識はありますか?器材の組み立てチェック、トラブルへの対処方法を適切に行えますか。何もかもインストラクターやスタッフに任せていませんか?ダイバーは自分の事は自分でできなければなりません。自分の安全は自分で確保しなければなりません。このことはバディの安全確保にもつながります。ダイビングで怖いのは自分に起きたトラブルが自分だけに留まらず、一緒に潜っているダイバーの安全を脅かすことになるという事です。

いつもインストラクターやスタッフが側にいてサポートしてくれるわけではありません。同時に複数のトラブルが起きた場合インストラクターやスタッフは全てに対応はできません。

器材をセッティングしてくれる、エキジットの時フィンを外してくれる、器材を背負わしてくれる、マスクの曇り止めをしてくれる・・・、何から何までしてあげる、これを良いサービスと思っているダイバーは大きな勘違いだと思います。これはスタッフにとってストレスです。他への安全管理が手薄になります。ダイバーの技術レベルや危機管理能力も低下します。

ダイビングツアーに行ったら、最低でも1ダイブは基礎的技術の練習やアップデートを行い、またショップインストラクターに学科講習を行ってもらって下さい。これはダイビングを安全に楽しむためです。

また、健康面には十分お気を付け下さい。ダイビングは呼吸ができない高圧下でのとてもリスクの高い活動です。特に心臓に掛かる負担は大きいです。その負担に心臓が耐えられなければ心臓にトラブルが起きます。心臓や血管に病気がある方、中高年、肥満、喫煙者、飲酒(二日酔い)、運動不足、疲労に蓄積、風邪気味などはそれだけでリスクです。二日酔いで潜るとかあり得ません。ダイビングに来た時ぐらい禁酒したらとおもいます。

中高年のダイビングやスノーケリング参加に医師の承諾書の提出を求めるのが当たり前になってはいますが、それがリスクの軽減や命の保証をするものではありません。中高年層は参加するに当たり、常日頃から健康・体力を良好に保つ努力をし、参加当日の体調を整えて下さい。当然、ダイビングの技術練習や知識の習得は行って下さい。慎重に無理せず活動してください。歳をとってもダイビングをしていることを自慢しないでください、調子に乗らないでください。かなりリスキーな事をしています。今日もたまたま無事にダイビングが終わったと思って下さい。

最近中高年ダイバーの事故が多いです。心臓のトラブルが原因が多いです。特に病気ではなくても心臓や血管は老化しています。持続的な中・低負荷(ジョギング、ウォーキング、水泳など)には耐えられるかも知れませんがダイビングは瞬間的に心臓に強い負荷が掛かる事があります。それには耐えられないかも知れません。

私も還暦を迎えました。今もほぼ毎日15∼20kmは走っています。当然以前の様なペースでは走れませんが・・・。たまにもう限界ってぐらいまで負荷を掛けて走ることも行ってます。それでも・・・。

2年ほど前、水中に計測機器(約25㎏)を設置する作業をしていた時(2名で)、水深10mで計測機器が水没していることが分かり、即浮上を開始しました。重いのなんのってBCにパンパンに空気を入れ必死にフィンキックして水面に辿り着きましたが、水面に出た瞬間気を失いかけ計測機器を離してしまいました。その初めて「心臓が止まる」って感じました。呼吸もうまく出来なかったです。今まで水中で死ぬかもって思ったことは数回ありましたが、この時は体も痺れてどうしようもなく本当に怖かったです。幸いしばらくしたら元に戻りましたが・・・。(元に戻ったのは気合を入れたってのもありました(笑)やっぱりいざとなったら気合は大事だなって思いました。)

BCがパンパンに膨らみ肺や心臓を圧迫したんでしょうね。激しく動いて体は酸素を要求しているのに肺は膨らまない、心臓も動きにくくなってるで、酸素が体に十分行き届かなかったので酸欠で気を失いかけたのかも。

普段運動していても、体は老化していて瞬間的な高負荷に耐えられなくなっていることを実感しました。

また、ダイビング中に実感はないかも知れませんが、例えばいつも通りダイビングしていて浮上したら下半身に力が入らなくなったり手足に痺れが出て、短時間のうちに下半身が麻痺し、高気圧治療を複数回受けたものの完治せず、一生下半身麻痺の状態が治らないという事例もあります。

ダイビングを長く安全に楽しみたい方はインストラクターも含め継続的に技術練習や知識習得に努め、ダイビングに真剣に向き合って欲しいと思います。特にインストラクターやスタッフは救急法やレスキュートレーニングもです。言葉は悪いですが「ダイビングをなめたらだめです」

それから下記事項をご理解下さい。

長くなりましたが、最近中高年のダイビングやスノーケリング中の事故が多発しているので書きました。

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