酸素の講習

今日はショップインストラクター対象の「酸素プロバイダー」講習でした。

酸素プロバイダーとは、ダイビング中に減圧症が疑われるダイバーが発生した場合、そのダイバーに応急処置として医療用酸素の供給を行える資格です。

減圧症はダイビング中に溶け込んだ窒素が浮上速度が速過ぎた場合に体の中で気泡化して血液の流れや組織に悪影響を与える潜水病です。

減圧症が疑われる場合は応急処置として医療用純酸素を吸うと悪化防止の効果があります。純酸素を吸うと血液中の酸素分圧が高くなり、その分血液や組織中の窒素の分圧が下がり排出が促されます。

純酸素を吸うだけで症状が消える場合もありますが、あくまで応急処置なので、医療機関へ行かなければなりませんが、酸素を吸うことで、悪化の防止、後遺症の防止、高圧治療の効果を高めるといったメリットがあります。

皆さんはもしダイビング終了後「体が何かおかしい・・・」と感じたら、スタッフにその旨伝えて、酸素があれば吸うことを考えて下さい。なければ、安静にして水分補給を行て下さい。ダイビング終了後は窒素が体内に蓄積しています。元の状態に戻るには24時間ほど掛かります。だから、24時間は体を気にしていた方が良いです。数日ダイビングされる方は、日が替わっても窒素は抜け切っていません。朝になったからと言ってリセットされているわけではないのです。前日のダイビングで蓄積した窒素が抜け切らない内に次の日のダイビングを行うわけです。ダイビング中蓄積しては休憩中に少し抜けるを繰り返しています。滞在中は窒素漬けなのです。それを頭に置いておいてください。

治療は再圧室(圧力が掛けられる装置)に入って圧力を掛け気泡化した窒素を排除して徐々に大気圧に戻していくという高圧酸素治療というものです。1回の治療に5時間ほど掛かります。1回の治療で症状が消えない場合は、治療は複数回に及びます。1回の治療にかかる費用は¥18,000ほどです。治療中は入院になる場合もあります。当然入院費用も掛かってきます。

再圧室はどの病院にもあるわけではありません。石垣島には八重山病院に1台一人用の装置があります。再圧室は他の治療にも使われますので、病院に行ってすぐ治療が施されるかどうかは分かりません。

減圧症は前述したように体内に溶け込んだ窒素が速過ぎる浮上で、呼吸を介しての排出が間に合わない場合に発症しますが、個人の体質、体調、窒素の蓄積具合などで発症の有無や症状の違いが起きます。重症の場合は下半身に麻痺が起きて歩けなくなることもあります。レジャーダイバーはそのダイビングスタイルから脊椎などで気泡化しやすくそのため重症化しやすい傾向にあります。重症化した場合、病院で高圧酸素治療を施しても完治するか後遺症が残るか分かりません。たった数十分のダイビングで一生後遺症が残る場合もあります。車いすの生活を余儀なくされた方もいます。ダイビングは一歩間違うとそういうことが起きかねない高リスクなレジャーだということを認識してください。もちろん安全に十分配慮していれば、罹患しませんし楽しめます。

石垣島でのある期間の減圧症に関して調べたことがありますが、高圧酸素治療の結果、完治したのは12.5%、治療しても何らかの症状が残存したのが87.5%でした。治療回数は1回から多い方で34回という例もあります。この方は34回の治療を行っても自力歩行は困難でした。

安全に楽しむためには減圧症について十分勉強し、ダイビング中はダイブコンピュータを適切に使いダイバー自身がガイド任せにせず十分に考えて行動することです。ガイドスタッフが100%正しく行動するわけではありません。ガイドにスタッフには経験豊富なスタッフと、まだガイドを始めたばかりのスタッフもいます。減圧症に関して十分な知識を持って行動しているスタッフもいれば、十分な知識がないスタッフもいます。知識の習得と経験が能力に繋がるのでこれは仕方のないことです。だから、ダイバーはダイビングを安全に楽しみたいのならダイバー自身が勉強すべきです。

減圧症に関して勉強されたい方は、お申し付けください。

石垣島のすべてのショップのスタッフが酸素プロバイダーの資格を持っているわけではなく、酸素キットも全てのショップが持っているわけではありません。現在普及に向けて取り組んでいます。今回の講習もその一環です。

まだ酸素プロバイダー資格持ってない方は講習しますからご連絡ください。講習はプロバイダーの内容はもちろんですが、減圧症について、前述した調査内容を含めて説明します。

  

講習中は、みんなが買って来たお菓子が机の上で山になっていた(^O^)

酸素キットと酸素シリンダーです。シリンダーの容量は2ℓぐらいなのであっという間に吸いきってしまいますが、吸うのと吸わないのとでは大きく違います。

 

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